君の膵臓を食べたい 住野 よる
1.あらすじ
話題になってから、読んでみたいとずっと思いながらも、タイトルから少し怖い本なのかなと尻込みしていました。しかし、友人から借りたことをきっかけに読んでみました。
ジャンルは、青春小説。
あ、これは恋愛小説ではないんだな。そう思いました。映画化されたときに、二人の男女が出ていたからこれも恋愛要素の入った話なのかなと漠然と思っていました。
この物語には、主に二人の男女が出てきます。
「君」と「僕」
物語を読めば、それが誰なのか、本名も分かるのですが、私が読んで一番ぴったりとくる二人の呼び方は「君」と「僕」でした。
もちろん、人によって感じ方はかなり変わってくると思いますが、名前を簡単にここで出すのは違うかなと私は感じています。
と、脱線しがちなあらすじなのですが
「君」は膵臓に大きな病気を抱えています。
余命幾ばくかしかありません。
それでも彼女は自分の運命を受け入れ、ともに過ごしていくことを決めます。
家族以外の人には病気を知らせず、普通の人間として、明るく最後の自分の時を過ごす。
そんな中で、彼女の闘病生活、彼女にとってはその言い方はふさわしくありません、彼女の共病生活、それを素直に綴ったものが「共病文庫」という日記のようなものでした。
「僕」はたまたまその共病文庫を読んでしまいます。
そのことから、彼女と僕につながりが生まれます。
彼女にとって家族以外にただ一人、病気を知っているクラスメイトが僕なのです。
僕は人とのつながりを避けて生きてきた、一人で生きてきた、孤独な少年です。
彼女は底抜けに明るく、笑顔を絶やさない、周りをいつも人が囲んでいるような少女です。
そんな真逆なふたりが一緒に過ごすようになることで、お互いにたくさんのことを経験し、気づかされ、多くの思いが溢れます。
そんな二人のやりとりはハラハラするくらいブラックジョークに満ちあふれていて、でも暖かさや優しさがあって、時には鋭く、熱くなりすぎ、そして安定しているようで不安定です。
物語の最後は、私の思っていた予想していた結末とは違うものでした。
だからこそ、より深く思っていたことや考えていたことに向き合わされました。
最後は、涙が止りません。
なんとも漠然、抽象的なあらすじとはなってしまいましたが、これが私の感じてきたあらすじです。
2.感想
まず、最初に。
生きていることへの感謝や、一日を大切にすることを改めて感じることができました。
生きることとはどういうことなのか、という問いに対して、人と関わることという結論が私には最もしっくりと来ました。
私達はひとりで生きていくことも出来るかもしれない、でもどんな感情も人と関わらなければわいてこない感情で
悲しみも
喜びも
つらさも
優しさも
愛し愛されることも
誰かを思い思われることも
どんなことも誰かと関わり、分け合っていくことが大切なのではないか、そう強く感じることが出来ました。私は、人と関わって生きていきたい、そう改めて強く感じることができました。
僕と君の、ふたりの会話はテンポがよくて、綱渡りのようで、本当に読んでいてハラハラとでもすっと体の中に馴染んでくるようで、読んでいて本当に面白かったです。
恋愛小説ではない、青春小説だからこそ醸し出されるふたりのバランスがそこにはあったように感じます。甘酸っぱいだけではない、盲目ではない、だからこそ出せるバランスがあったような気がします。
ふたりの性格も絶妙で、真逆だからこそ出せる何かがあったように思いました。
どちらがよくて、どちらが悪い、そんな簡単な構図ではない。
どちらもお互いに影響を受け合い、より人間らしく、そしてより愛くるしいキャラクターへと変貌していく。
最後にはふたりのことが大好きになっていました。
もちろん、ふたりのまわりを取り囲むキャラクターも人間味が強く、引き込まれるようなキャラクターでした。
簡単に感想を言うとしたら、感動したし先が気になってあっという間に読んでしまう、最後に涙を流してしまうような作品でした。
ぜひ、映画化されたということで次は映画をみてみたいなと感じています。